いいね

何に対しても常に好きという気持ちより嫌われたくない気持ちが勝っている。溢れかえる情報ネットワークとそれを介したコネクションの中で、人の好意は一昔前よりも容易く不本意な形で伝わってしまうことが増えた。そのネットワークに身を投じている一人として、そして20歳の今だ頼りない一人の女として、そのことが非常に恐ろしい。

 

一方で、snsが用意したステージでいいねや足跡をつけることやもしくはつけないことでしか伝えられない好意も少なからず存在することを私は知っている。その昔、簪が好意の象徴であったとはよく言ったもので、伝えようがない感情を形に残しておくためには、小さなディスプレイをタップしてあの親指で隠れてしまう小さなハートを色付けるしか方法がない。しかしそうしてハートが色付くのはこちら側の世界で、そうしたからと言って相手側の画面が虹色に変わるわけでもない。私たちが色をつけたいのはそちら側の、生活、であるというのに。